ぱなっちの窓

夏はイギリス

イギリスは夏が断然いい。そりゃぁ雨は降るけど、冬ほどではないし、第一太陽が沈まないのだ。夜までが、とっても長い。それに、ちゃんと暑い。でも、日本のような、鼻の周りに空気が停滞しているような、あの息苦しい暑さはない。夜になればそこそこ冷えるので、よく眠れる。

イギリスで菜の花畑が黄色くなると、春がやってきたなと感じる。この菜の花畑は本当にみごとで、丘一面に黄色い絨毯を敷き詰めたようになる。あんまり美しいので、お弁当を持ってピクニックへ行ってしまうくらい。人の畑に勝手に入りこんでお弁当を広げるのはちょっと勇気がいるが、そんな冒険をしてしまうくらい美しいのだ。でもこの菜の花畑は毎年同じ場所に出現するわけではない。何年かおきに菜の花を植えるらしくて、去年ピクニックへ行った畑には今年は行けない。毎年毎年ピクニック場所を探すのだ。それから私は花の名前にうといのでぜんぜん知らないのだが、まるで雑草のような小さな花達が開き出す。きれいな紫色の花、小さい黄色い花、もちろんタンポポも。春の花は本当に愛らしい。

そして、夏がやってくる。イギリスの夏は短い。短い夏を満喫するため、みんな一斉にホリディにでかける。朝など道がすいていて、非常によろしい。西のコーン・ウォールはとってもリゾートしているらしい。私の憧れの休暇先だ。じりじりとした陽射しを満喫するため、若い女の子たちの露出度はぐんと上がる。去年は金太郎ルックがトップ・モードだった。この季節、陽射しが非常に強く、痛いくらい。オゾン層の破壊を肌で感じられる。日本人の私としては、なるべく焼かないように気を使う。が、白人である彼らは真っ赤になるまで平気で焼いてしまう。”夏の日向を好むのは、狂った犬とイギリス人だけ”と言うらしい。
冷凍庫の中にはアイス・キャンディーが入ることになる。日本ではもう見かけなくなってしまった、細長い袋のなかに色も鮮やかな着色料いっぱいのジュースが入っていて、それを凍らせるもの。子供達はいつでもこうゆう安っぽい味が大好き。それから、それから、アイスクリームVANがやって来る。アイスクリームを積んだ車が、住宅街の小道にやって来るのだ。お馴染みのメロディーが聞こえてくると、子供達が50p(100円)を握り締めて家々から走り出してくる。

私がとっても小さかったころ、味噌おでんの屋台を引いたおじいさんがいた。茹でたこんにゃくとさつま揚げに味噌ダレを塗ってくれた。これは、VANなどではなくて、リヤカーっていうやつだった。今思えば、あの屋台はとっても重かったに違いない。おじいさんはほぼ毎日現われた。姉と二人で大喜びで屋台めがけて走って行った。子供のお小遣いで買えたのだから、一本10円位だったのだろうか。小学校高学年であのおいしい味噌おでんを食べた記憶はない。アイスクリームVANを見ると、あの小さいおじいさんを思い出す。



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